2008-02-19

新たなアユの感染症確認

農林水産省は15日、国内で初となる細菌「エドワジエラ・イクタルリ」によるアユの感染死が山口、広島、東京の3都県で確認したと発表した。岩国市の錦川での被害が最も多く、昨年9、10の両月で1400匹が死んだとみられる。東南アジアから菌が入ってきた可能性が高いという。人体への影響はないが、漁業被害が懸念され、農水省は全国調査に乗り出した。

山口県によると、錦川下流で9月に入ってアユが死んでいるとの報告があり、9月28日に現地を調査。5カ所で計35匹の死骸(しがい)を見つけた。外見上は大きな変化はないが、肛門(こうもん)周辺が赤くなるなどの特徴があった。水産総合研究センター養殖研究所(三重県南勢町)で検査したところ、エドワジエラ・イクタルリによる感染死と判明した。

また、広島県北部の江の川でも昨年10月、変死したアユが持ち込まれ、県が広島大などに検査を依頼。腎臓から同じ細菌を検出した。

エドワジエラ・イクタルリは、アメリカナマズや東南アジアのナマズの腸敗血症の原因菌。人体への影響はないとされるものの、感染力が比較的強く、漁業に影響が出るため、農水省は都道府県から25日までの報告を求めている。

山口県は15日、県内の漁協や養殖業者らを緊急に集め、4、5月両月の稚アユの放流前に検査をする方針を伝えた。広島県も同日、県内水面漁協連合会に放流用種苗の保菌検査などを指導した。

※エドワジエラ・イクタルリ
ナマズの腸敗血症の原因菌で、北米やタイ、ベトナム、インドネシアなどで発生している。米国の養殖場ではワクチン接種などで対応している。20度以上の水温で発生しやすい半面、37度以上では増殖せず、人の健康への影響はないという。日本には存在しないとされてきたが、今回の調査で国内のアユも感染死すねことが判明した。

2008年2月16日中国新聞朝刊

アユの大量死アユの死骸発見現場

コメントする

コメント: