2007-11-13

ブルーギル「私が持ち帰った」 環境憂慮、天皇陛下がお言葉

天皇陛下は11日開かれた「全国豊かな海づくり大会」の式典で、外来魚やカワウの異常繁殖などにより、琵琶湖の漁獲量が減っている現状を述べられた上で、「外来魚の中のブルーギルは50年近く前、私が米国より持ち帰り、水産庁の研究所に寄贈したものであり、当初、食用魚としての期待が大きく、養殖が開始されましたが、今、このような結果になったことに心を痛めています」と心情を明かした。

 宮内庁や滋賀県によると、陛下は1960年に米国シカゴ市を訪れた際、市長からブルーギルの寄贈を受け、水産庁の研究所に渡した。県水産試験場は63年から64年にかけ、水産庁の研究所からブルーギルを分与されて飼育。72年まで研究対象にしていた。

 77年発行の季刊誌「淡水魚」では、ブルーギルが滋賀県の養殖池から逃げ出し、琵琶湖に見られるようになったとの話が紹介されている。当時、陛下から話を聞いた筆者は「殿下(当時)は残念に思われている御様子だった」と記しており、陛下は30年前から心配していたとみられる。

 県漁連のパンフレットによると、琵琶湖では1990年にブルーギルが急増し、93年に大繁殖。一方で、固有種ホンモロコの漁獲量は90年代後半から激減した。

 嘉田由紀子知事は11日の記者会見で、ブルーギルについて「(試験場では)二重の網をしていたので、逃げ出したとは考えられない。増えたのが平成に入ってからという時間のズレもある」などと、急増した原因は不明とした。

 その上で「当時は食糧難。タンパク質を増やす、いろんな知恵を生みだそうとしていた」とし、陛下の言葉については「科学者としての天皇陛下の真摯(しんし)な姿勢をお示しくださったものと、大変な感激を持っておうかがいしました」と話した。

2007年11月12日 中日新聞夕刊

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