太田川で、アユの不漁が続いている。5月の少雨や6月下旬以降の大雨など天候不順が主な要因。成育状況、数とも低迷しており、太田川漁協(広島市安佐北区)は「例年の漁獲の半分も見込めない可能性がある」と懸念している。
今月上旬に太田川で解禁された建網漁。漁協組合員の山岡和人さん(70)ら4人は11日夜、安佐北区内の漁場に繰り出した。川舟に乗って川に張った網をたぐり上げ、山岡さんはため息を漏らした。
「掛かる数が少なく、やせたアユも多い。今年はひどい」。1度の漁で100匹前後を捕るが、この日は約50匹だった。7月の長雨で水位が上がっており、漁ができない日も多い。漁獲量は昨年同期の約2割にとどまっている。
釣りも不振だ。太田川漁協の調べでは、5月末の解禁から7月末までの週末に、釣りに訪れた人は約800人と、昨年の約6割に落ち込んでいる。
太田川漁協によると、5月の少雨で餌となるコケが育たず、アユの成育が遅れた上、6?7月の大雨で川の水温が上昇せず、アユの活動が鈍っている。冷水病の広がりや大雨による増水で下流に流されたアユも多いとみる。今後、特に不漁が目立った場所や原因を調べ、放流の時期や場所を見直す考えでいる。
2009年8月14日中国新聞朝刊